機能概要

ソリッドモデルから中立面を抽出して、ソルバーの時間を大幅に短縮するということは、一般的によく知られたテクニックです。ただ、ソルバーの時間を短縮できても、中立面を抽出するのに膨大な時間がかかるため、実際の設計現場ではそれほど普及していませんでした。

この抽出作業の効率化に世界中のCAEの会社がチャレンジしてきましたが、未だに納得できる回答を出せた会社はありません。

今回テクノスターが開発した新中立面抽出機能は、従来(ペア面による抽出)とは異なった方法を用いています。従来の方法では、弊社のものも含めて、フルオートで抽出することは、ほとんど不可能でした。

特に、実際のソリッドモデルでは、面と面が複雑に組み合わさった形状になっており、中立面を自動で抽出した場合には、面の抜けや、面と面との接合不良、板厚の誤測などがあり、中立面の抽出後に、手修正を必要としました。

「せっかく自動で抽出しても、手修正のために、多大な追加作業が発生するのでは、はじめから手動で抽出した方が全体の作業時間が短くなる」という声がありました。
これが、中立面の自動抽出がこれまであまり普及しなかった理由です。

テクノスターが開発した新しい方法では、CADデータからメッシュ分割までをフルオートで行います。面抜け/接合不良/板厚の誤測などの問題はありません。また、CADデータに多少の欠陥があっても、問題なく抽出できます。
この新しいテクノスターの中立面機能を用いれば、強度解析・振動解析さらには衝撃解析・樹脂流動解析に大幅に貢献できると思います。

新中立面の特長については資料をご覧ください。

■オペレーションビデオ
TSV-Pre v3.1を使用しまして、実際に中立面を抽出してメッシュ作成を行うまでの動画をご用意いたしました。

■マニュアルと例題モデル
新中立面の機能を実際に体験して頂くための「中立面チュートリアルマニュアル」と例題のモデルファイルをご用意いたしました。


中立面抽出理論

TSV-Preの新中立面抽出機能に採用されている基本的な理論について説明します。今回採用された理論は、従来のソフトウエアで採用されてきたペア面法とは異なる独創的な考え方に基づきます。

1. 従来の方法

従来の中立面抽出で用いられてきたペア面法は、与えられた形状の向かい合う面をペア面として認識し、その中間位置に中立面を作成する方法です。
例えば図1の単純なT字型では面a, b 及び c, e と d, e をそれぞれペア面と認識し、その中間位置に面を作ることで図2のような中立面を生成するものです。

2. ペア面法の問題点

ペア面法は図1の単純な例題ではうまく機能します。しかし、実際に製造業などで3次元CADを用いて製作される形状は、面の区切りなどフィーチャーが複雑に入り組んでいることが多く、うまくペアとなる面を認識できずに失敗することがあります。

例えば図3のT字型は図1の形状と大きな差はありませんが、面gに対しうまくペアとなる面が見つからず失敗します。極端な例に、図4で示される500円硬貨の例があります。500円硬貨のように複雑な面を持っている場合、ペア面法による中立面の抽出は実際には不可能です。


図4 ペア面法の限界

3. 移動面法

これらのペア面法の問題点を踏まえ、面情報に頼らず対象の形状のみから中立面を求める方法がこれから説明する移動面法です。TSVではこの方法を採用しています。
移動面法は以下の手順に従います。

a. 対象の表面を内側にわずかに移動する。

b. 接触する場所を探しその部分を固定する。

この2つのステップの処理をすべての場所が動かなくなるまで繰り返します。
例えば先の図3の形状について考える場合、まず図5のように内側にわずかに移動し、これを繰り返して図6の状態にします。ここで太線は接触して固定された場所で、普通線はまだ動き続けている場所とします。さらに移動を繰り返すと、最終的に図7の状態ですべての場所が接触し固定されて終了します。
図7がこの手法で得られる最終的な中立面となります。

4. まとめ

これまで紹介してきたように、移動面法は対象3次元モデルの表面を起点としてそのまま使用する方法です。この方法ではスタート形状が既に繋がっている3次元形状の表面なので、基本的に作成された面が繋がらないことはありません。
この原理を用いれば理論上どのような3次元形状からも適切な中立面を取ることができます。TSVではこれを応用したアルゴリズムで中立面抽出を行っています。

以上


開発者メッセージ

技術グループ1(ユーザ視点に立った「イチオシな点」の紹介)

技術営業部 技術Gr.新中立面開発サポート担当者からメッセージがあります。

今回開発した新中立面機能について、ユーザー視点に立った「イチオシな点」をいくつか紹介したいと思います。

1. 中立面機能の操作性

中立面抽出からメッシュ作成までの一連の流れである(CAD表面にメッシュ作成→中立面自動抽出→メッシュ作成→要素品質自動修正→板厚情報割り当て)などの操作は全てワンプッシュで実行することができ、ユーザーは煩わしい操作から解放されます。

2. 面抜けの少なさと自動板厚設定

TSV-Pre V3.1に採用されている新中立面抽出機能では、曲率面などを持つ複雑な形状に対しても全自動で中立面を生成することができ、面抜けも箇所も非常に少ないです。
また、自動抽出時にCADデータの板厚情報を自動計算することもできるため、CADデータの板厚を測定する作業が不要になり工数を削減することが可能です。

3. その他の便利機能

中立面生成後にTri3メッシュを作成して、要素品質を修正する際に大変重宝している機能が御座います。TSV-Pre V3.1から採用された、要素自動修正機能(Mesh Refine)です。
この機能は(Stretch、Aspect Ratio、最小要素長)の各パラメーターで指定した要素品質項目に該当しない品質の低い要素を約2~10秒(モデルに依存します)で自動修正することが可能です。
また、CADデータと中立面結果モデルを同時に表示し、動きを同期させる機能(Model Tileボタン)やCADデータを半透明にして、中立面結果と重ねて表示させる機能(Transparency – Very Highボタン)によって中立面結果の確認を簡単に行うことができます。

これらの機能が皆様の業務改善にお役に立てれば大変うれしく思います。
どうぞお試しください。

以上

技術グループ2(技術的視点からの中立面シェルモデルの優位性)

テクノスター 技術営業部 技術Gr

ここでは技術的視点から見た中立面シェルモデルの優位性について検討したいと思います。
まず、以下の5つのポイントについて考えてみましょう。

1. モデル規模の削減
2. 板厚変更が容易
3. 積層材のモデル化が容易
4. 曲げ挙動の表現に優れる
5. 外表面モデルと比較し剛性の表現に優れる

1. モデル規模の削減

ソリッドモデルの場合に精度のよい結果を得るには、シェルモデルに比べてある程度細かい要素分割が必要となります。中立面を用いたシェルモデルを使用することで、モデル規模を抑え、解析時間を大幅に削減することが可能となります。

2. 板厚変更が容易

ソリッドモデルの板厚を変更する場合には、CADで形状変更→メッシュ再生成→荷重境界条件再設定といった手順が必要なため、モデルの準備に時間が掛かります。したがって複数ケースの計算では、これが顕著になります。
シェル要素の板厚は特性値として与えられるため、特性値データを変更するだけ板厚変更が可能となり、バリエーションモデルの準備は一瞬で終了します。そのため、複数ケースの計算を必要とする最適化解析などにシェル要素モデルを使用すると時間短縮の効果があります。

3. 積層材のモデル化が容易

ソリッド要素で積層材料をモデル化するには、特殊なソリッド要素を使用するか、板厚方向にレイヤを成すレイヤメッシュモデルを作成する必要があります。実製品形状でこのメッシュを作成するには、膨大な作業時間を必要とし非現実的です。
一方シェル要素の場合は、一般的な汎用ソルバーでは、シェル要素に対して積層材料をレイヤ毎に厚み、材料軸方向等設定できますので、積層部材を容易にモデル化することが可能です。

4. 曲げ挙動の表現に優れる

テトラ要素で薄板構造のモデルを作成すると、シェル要素と比較して一般的に剛性が堅くなります。ソリッド要素で曲げ挙動を精度よく解くには、シェル要素に比べて非常に精細なメッシュ分割が必要となります。
このことは次の例題で顕著に違いとして表れました。シェルモデル200節点程度でほぼ理論解と一致するのに対して、ソリッドモデルでは20000節点程度必要となりました。

曲げ例題

円板の周辺を固定、中心に集中荷重をかけ、最大たわみ量の理論解と板要素、ソリッド要素のFEM解析結果を比較した。

より、最大たわみ量wmax=1.1264 [mm]

曲げ例題―結果

要素サイズ[mm] 要素数 節点数 最大たわみ量[mm] 比率(理論解100)
理論解 1.1264 100
板(1次)要素 16 184 205 1.1421 101
ソリッド(2次)要素 8 2988 6197 0.8867 78.7
4 11966 24332 1.1199 99.4
2 47344 95550 1.1254 99.9

5. 外表面モデルとの違い

モデル外表面から作成されたシェルモデルと、モデル板厚中間位置の中立面から作成されたシェルモデルでは、モデルの全体的な曲げ剛性が異なります。
簡単な例題を挙げて説明します。以下の様なカギ型の断面形状をもつ一様な長さの棒のたわみ量を計算します。ここで断面形状の中立位置を使用した中立面シェルモデルと上側の外表面を使用したシェルモデルを作成し、比較しました。
以下に使用したCADモデルを示します。長さ450mm、幅8mm、高さ(左)30mm、高さ(右)4mmで(いずれも外形)、板厚は2.7mm均一としました。

対象CADモデル:カギ型の一様断面形状をもつ棒

このモデルの中立面位置と外表面(上側)位置にシェルメッシュモデルを作成しました。それぞれの位置関係を以下に示します。

中立面モデルと外表面モデルの位置

中立面シェルモデル:節点数 910 要素数 810

外表面シェルモデル:節点数 910 要素数 810

荷重条件と拘束条件は両モデルとも同じで以下の通りです。
荷重条件:中央部5節点にそれぞれY=1, Z=-1の斜め方向荷重
拘束条件:両端エッジの完全拘束

このモデルの解析結果の比較を以下に示します。中立面と外表面の最大変位はそれぞれ3.11mmと1.96mmで中立面の値が約1.5倍になっています。これはモデル断面がカギ型になっているために、外表面を使用してシェルモデルを作成すると、モデルの曲げに対する断面2次モーメントが大きく評価されてしまい、結果としてモデルの剛性を堅く評価してしまっている結果を表しています。ある程度板厚があり、曲げ荷重を受けるモデルを計算する場合には、外表面を使うと結果が予想以上に堅く評価されている恐れがありますので、十分な注意が必要です。
また、固有値解析で振動モードを計算する場合にも同じ事が言えます。堅く評価された剛性によって周波数は高く評価されます。

中立面モデル(左:最大変位3.11mm)と外表面モデル(右:最大変位1.96mm)

以上の議論により、中立面シェルモデルの優位性についてご理解をいただけたと思います。薄肉形状ではシェルモデルを利用するのが計算精度、計算時間、モデル変更の柔軟性において大変有利であり、また精度良いシェルモデルを作成するには、その中立面位置に要素を置いた中立面シェルモデルが必要です。
TSV-Preの新中立面機能で中立面モデル作成が短時間で行えるようになれば、従来のモデル作成時間も大幅に短縮でき、さらには正しい位置に置かれたシェル要素モデルによる高精度で柔軟性のある解析が期待できます。ぜひ新中立面機能をお試しください。

以上


中立面Gallery

テクノスターでは中立面ギャラリーで使用するモデルを募集しています。

お客様のお手元に弊社の中立面ギャラリーで公開可能な3次元CAD形状がございませんか? また、そのモデルを是非ご提供いただけないでしょうか? ご提供いただけましたら引き替えに以下の特典を提供いたします。

1. 新中立面機能による抽出結果メッシュモデル(Nastran BDF形式)。自動処理のみで手修正が含まれない物を提供いたします。

2. TSV-Pre新中立面機能の使用ライセンス1ヶ月分。 TSV-Preベース機能と新中立面機能が含まれます。CAD I/F等の詳細についてはお申し込み時にご確認ください。

ご応募いただくモデルは、以下の条件を満たした物とさせていただきます。

1. お客様ご自身、もしくはお客様の所属する会社で作成された3次元CAD形状であり、その著作権を有しているものであること。CADのフォーマットは、Pro/Engineer、I-DEAS(idi)、Parasolid、OSD、CATIA V5、ACIS、IGES、STEP、VRML、STLから選択いただけます。

2. 弊社Webサイトでの一般公開またはブローシャーなどの営業資料で画像表示が可能であること。一般公開は画像、ビデオ動画もしくは弊社TSV Personal Viewerファイル形式などで行い、提供された3次元CADの元の電子データファイルそのものの公開は行いません。

3. ご提供いただく3次元CAD形状は比較的薄肉形状で、ある程度の形状の複雑さがあり、シェルモデル対象形状としてふさわしい物であること。この判断の基準はテクノスター社によるものとします。

4. ご提供いただいた電子データファイルの返却は行いません。

5. ご提供に先立ち、ご提供に関する同意書を取り交わさせていただきます。

応募先

中立面Galleryにご応募頂ける方は、メールのタイトルを「ギャラリー応募」として、下記アドレスまで御社名・部署名・お名前・メールアドレスをお知らせください。折り返し、弊社営業よりご連絡差し上げます。

株式会社テクノスター/技術部
E-Mail : ts_toiawase@e-technostar.com

皆様のご応募を心よりお持ち申し上げます。

抽出結果メッシュビデオ

TSV-Preを使用しまして中立面を抽出してメッシュ作成を行い、CADモデルとの比較を行っている動画を、簡易モデルとHVACモデルの2パターンをご用意いたしました。

■抽出結果メッシュビデオ(簡易モデル)
こちらからご覧になれます。

■抽出結果メッシュビデオ(HVACモデル)
こちらからご覧になれます。


作業時間一覧

中立面の抽出に要しました作業時間を一覧にいたしました。自動車の主要部品や携帯電話など、工程毎に実際に作業した時間を表にまとめています。

(単位:分)

ID 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
ファイル名
















H
V
A
C



H
V
A
C



H
V
A
C













































































































MeshSize(mm) 5 5 5 5 4 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5
CAD表面にメッシュ作成 7 7 6 7 2.5 1 4 3 1 2 1 2 3 1 2 0.5 5 0.5 2
中立面自動抽出 57 20 55 32 13 7 14 5 3 9 2 50 8 2 7 1 30 3 18
Tri3メッシュ作成 7 2 6 6 10 0.5 5 1 1 1 0.5 2 1 0.5 1 0.5 0.5 2
要素品質自動修正 0.5 0.5 0.5 1 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
面抜け修正 30 15 30
Qaud4メッシュ作成 4 2 4 1 3 0.5 1 0.5 4 1 0.5 1 0.5 4 0.5 2
要素品質自動修正 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
要素品質確認/修正 10 2 6 1 10 1 10 0.5 1 1 1 10 1 0.5 1 10.5 10.5 1 1
浮遊面確認/削除 1 2 0.5 2.5 2 1 5 1 1 1 1 5.5 1 1.5 2.5 10 0.5 10.5 30
要素単位板厚割当 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
板厚情報設定/修正 5 5 0.5 12 3 2 5.5 5 5.5 5 3 11 5 3 0.5 1 0.5 5 5
解析用データ出力 0.5 0.5 0.5 1 1 0.5 1 0.5 0.5 0.5 0.5 1 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
Total(h:m) 1:33 0:42 1:50 1:03 0:59 0:14 0:49 0:17 0:15 0:22 0:11 1:27 0:22 0:11 0:17 0:56 0:52 0:23 1:02

また、上記の表をPDFにまとめましたものもご用意いたしましたのでご利用ください。


期待の声

このコーナーでは、皆様から寄せられました「新中立面に対する期待の声」を掲載しております。

富士通九州システムズ様

新規に開発された中立面抽出機能については、弊社が提供している非線形構造解析ソフトLS-DYNAや樹脂流動解析ソフトAMIでの活用が考えられます。
LS-DYNAでは、中立面を確実に取ることで接触における初期貫通の矛盾回避と工数削減が期待されます。
一方、樹脂流動解析AMIでは、ボス・リブと母表面の繋ぎ作業や板厚の設定などの工数の大幅削減が考えられます。
上記の課題をクリアできれば、お客様から多く寄せられる樹脂部品や板金部品などの中立面メッシュ作成を一気に解決できる画期的な機能となります。

メディア記事

新中立面機能につきまして、各社メディア様で取り上げられました。

■「日経産業新聞」(発行:日本経済新聞社様)
2009年8月21日付 23面に関連記事が掲載されました。

■「日刊自動車新聞」(発行:日刊自動車新聞社様)
2009年8月11日付 4面に関連記事が掲載されました。

■ニュースサイト「GAZOO.com」(運営:トヨタ自動車様)
「日刊自動車新聞」の記事が掲載されました。

■月刊誌「日経ものづくり」(発行:日経BP社様)
2009年8月号「速報IT活用」のコーナーに関連記事が掲載されました。

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